「現金を借りる手段」として似ている2つのサービス
急に現金が必要になったとき、選択肢に挙がるのが「カードローン」と「クレジットカードのキャッシング機能」です。どちらもATMで現金を引き出せる便利な仕組みですが、実はその性質やコスト、返済方法に多くの違いがあります。
本記事では、この2つのサービスの仕組みを比較しながら、それぞれのメリット・デメリット、そして使い分けのポイントを詳しく解説します。
仕組みの違い:お金を借りる目的に沿って設計されている
まずは基本的な仕組みの違いを押さえておきましょう。
■ カードローンとは?
カードローンは、あらかじめ審査を受け、限度額が設定されたローン専用のサービスです。専用のローンカードまたはWeb管理画面から借入・返済を行い、限度額内であれば何度でも借入が可能です。
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金融機関(銀行や消費者金融)が提供
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専用の借入カードが発行される
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審査により限度額が設定される
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使途は原則自由(生活費、教育費など)
■ クレジットカードのキャッシングとは?
クレジットカードに付帯している「現金引き出し機能」がキャッシングです。クレジットカードを持っている人なら、新たな申し込みをせずに使えるのが特徴です。
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クレジットカードの一部機能
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ATMから現金を引き出す形で借入
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利用枠はショッピング枠とは別に設定される
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限度額は数万円〜数十万円が一般的
金利・利息の違い:カードローンのほうがやや有利な傾向
金利(実質年率)を見ると、一般的にカードローンの方がやや低めに設定されています。
サービス名 | 実質年率(例) |
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カードローン(銀行系) | 年3.0%〜14.5% |
カードローン(消費者金融) | 年4.5%〜18.0% |
クレジットカードキャッシング | 年15.0%〜18.0% |
特に銀行系のカードローンは、金利が10%前後になることもあり、借入金額が大きくなる場合は利息の差が無視できません。一方、クレジットカードのキャッシングは手軽に使える反面、金利が高めかつ繰上返済がしづらいケースもあるため注意が必要です。
審査・契約の違い:即時性か、計画性か
カードローンは、申し込み時に詳細な審査が行われます。勤務先や年収、信用情報などがチェックされ、1日〜数日かけて審査結果が通知されます。
一方、クレジットカードのキャッシング枠は、クレジットカードの審査時に同時に設定されていることが多く、利用申請の必要がない場合も。すでに枠があるなら、ATMに行くだけで即座に現金を手にすることが可能です。
手軽さでいえばキャッシング、計画的な利用を重視するならカードローンという使い分けが一般的です。
返済方法の違い:自動リボ払いに注意!
返済方式も大きな違いの一つです。
■ カードローンの返済
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毎月指定日に口座引き落としまたはATMから返済
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「残高スライド方式」や「元利均等返済方式」など
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一括返済や繰上げ返済も柔軟にできる
■ キャッシングの返済
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初期設定がリボ払い(自動分割)になっていることが多い
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月々の支払額が一定でわかりやすいが、完済まで時間がかかる
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金利が高いため、長期利用は総返済額が大きくなる
特にキャッシングでは、リボ払いのまま使い続けていると、元金がなかなか減らず利息ばかり払い続ける状態になりがちです。できれば一括返済または繰上返済で対応するのが理想です。
限度額・借入枠の違い:カードローンのほうが上限が高い
カードローンの限度額は数十万円〜数百万円と幅広く、年収や信用状況によって高額の借入も可能です。一方、クレジットカードのキャッシング枠は、ショッピング枠と合算の上限で管理されるため、あくまで「補助的な現金機能」にすぎません。
こんなときはどっち?用途別の使い分け例
シチュエーション | 向いている手段 | 理由 |
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明日中に3万円必要 | クレカキャッシング | 手元のカードで即ATM引き出し |
引越しや冠婚葬祭で30万円必要 | カードローン | 金利が低く、返済も柔軟 |
少額の急な出費(病院代など) | キャッシング | 手軽に借りられる |
長期間の分割返済を計画 | カードローン | 返済シミュレーションしやすい |
注意点:どちらも「借金」であることを忘れずに
どちらの手段も「現金がすぐに手に入る」点では便利なサービスですが、当然ながら返済義務があります。少額だからと軽い気持ちで借りると、気づけば毎月の支払いが生活を圧迫している…というケースも珍しくありません。
また、返済の遅延や延滞があれば、信用情報に記録され、住宅ローンや自動車ローンの審査に悪影響を及ぼすこともあります。
まとめ:違いを理解し、自分に合った選択を
カードローンとクレジットカードキャッシングは、一見似ていても「仕組み」「金利」「返済方法」などに明確な違いがあります。
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短期間・少額・即時性を求めるならキャッシング
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中長期・計画的返済・金利を重視するならカードローン
という基準で使い分けるのが賢明です。
いずれにしても、「今必要だから借りる」ではなく、「借りたあと、どう返すか」を念頭に置いた判断が、失敗しない借入の第一歩です。